広告制作会社の売り上げの大部分を占めるのがCM制作です。広告代理店とともにクライアント企業の課題解決のためにCMを制作します。
広告制作会社への就職を目指すには、CM制作の流れを理解し、実際の仕事のイメージを持つことが重要です。そこで、一般的なCM制作の流れをご紹介します。平均して2〜3ヶ月かけて制作を行います。

全体の流れはこのようになっています。ここからは企画・制作・撮影後・納品に分けて詳しく解説していきます!


クライアント企業が広告代理店に課題を相談します。
新しい商品をどのように売り出していきたいのか、商品のコンセプト、発売日などの情報を共有します。
オリエンテーションでクライアント企業の課題を正確に理解することが効率の良い仕事につながります。
実際に広告代理店が企画を考え、クライアント企業に提案します。
企画コンテは広告制作会社がサポートとして関わります。例えば、企画の参考になる資料を探したり、実現可能性・映像として成り立つのかを確認します。そして企画をコンテにしていきます。企画コンテにも手書き・写真・イラスト・動画など様々な種類があります。クライアント企業から承認をいただけるように全力を尽くします。
クライアント企業から企画承認をいただければ、実際の制作作業に移ります。
制作会社はプロデューサーを中心としたチームを構成しPMが進行していきます。
一般的に撮影前までのことをプリプロダクションと言います。

企画に合うディレクター、カメラマン、出演者、振付師、衣装、スタイリスト、ヘアメイク、照明、音声、デザイナーなど必要なスタッフを起用し打ち合わせを行います。制作に関わる全てに計画を立てていきます。PMはその全てに関わり制作を進行していくため、PM次第で作品のクオリティーにも影響します。
特に重要なのはディレクターの起用です。条件が合い、適正のあるディレクターを候補にしてスケジュールと予算を確認していきます。ディレクターの選定にはコマーシャルフォトの毎年11月号の付録「ディレクターズファイル」、「映像作家100人」などがよく使われます。どちらも一度見てみてください。
ディレクターに演出コンテを発注します。
企画コンテとの違いは秒割り、カットバック、イマジナリライン、テンポの拍を決めて作るため変更が効かないことです。
演出コンテは、企画コンテを完成に向けてさらに具体的にして、作品全体をレベルアップさせる作業です。
演出コンテの内容に沿って出演者を決定します。オーディションが制作会社で行われることもあります。
性別、年齢、演技、競合会社のCM出演歴がないか、SNSなどを確認します。
演出コンテの内容に沿って撮影地となるロケ地を探します。インターネット、コーディネーターなどで候補地を出し実際にロケハンを行います。
金額、立地、移動手段、駐車場、日の入り、日の出時間、電源、トイレ、喫煙場所、宿泊施設などを確認します。
撮影前に制作に関わる全てのスタッフが集まり確認をする打ち合わせです。
今までの決定事項を全員に共有し、撮影に向けて万全の準備を進めていきます。
PPMはプリ・プロダクション・ミーティングの略称です。撮影前にクライアント企業、広告会社、制作会社で最終確認を行い承認をいただく打ち合わせです。
会議の内容によっては計画に修正が必要になることもあります。お金を出すクライアントの意見にこそ正解が隠れていると考えて、正解のない正解を粘り強く探し続ける作業です。
撮影に必要なものを全て洗い出して、用意して準備を進めていきます。
用意するものの一例としては、ガムテープ、両面テープ、養生テープ、パーマセル、乾電池、軍手、ゴミ袋、タオル、紙コップ、紙皿、割り箸、文房具、ストップウォッチ、スピーカー、カイロ、薬箱、花束、カチンコ、お菓子、お弁当、飲み物、鏡、アイロン、ドライヤー、毛布、ブルーシート、雨具、虫除け、台車、ほうき、エアダスター、メガネ拭き、キッチンペーパー、撮影機材、HDD、書類、マスク、フェイスシールド、消毒液などなど。実際にはもっと多くのものを用意しています。
ついに撮影です。美術セットの立て込み、照明を組み、撮影のアングルチェックを行い撮影に移ります。
ディレクターを中心に撮影を行い、監督の横にメインPM、他のPMはタイムコントロール、リスクマネジメント、商品ケア、スタッフケア、キャスト・タレントケアなどを行います。
CM撮影と同時にグラフィック撮影、録音などを行うこともあり、タイムコントロールは特に重要です。
実際のCM撮影の様子はメイキングとして公開されていることも多いのでぜひ確認してみましょう。

撮影後に行う作業をポストプロダクションといいます。「ポスプロ」と略して呼ばれることが多いです。
ポストプロダクションを専門に行う会社もあります。

オフライン編集とは、撮影した素材を規定の尺で繋いで編集する作業です。ディレクターとエディターが中心になって作業を行います。
PMはスケジュール管理、商品の見え方、リスクマネジメント、クライアントとの契約内容について管理していきます。また、リスクマネジメントとして公開後にクレームが来ることを防ぐために「※撮影上の演出です」などの注釈を入れることもPMが管理します。PMは編集にも立ち会うのでディレクター、エディターから意見を求められたりすることもあります。
カラコレでは映像のトーン、色味を調整していきます。カメラマン、ディレクター、カラリストが中心となって作業を行います。
映像に合わせて必要な音源を入れていく作業です。ナレーション、効果音、整音などを行います。
オンライン編集では作品を完成させる作業です。仕上げとして出演者の肌をきれいにレタッチ、背景・別撮り素材・CGの合成、エフェクト・ロゴマーク・タイトルの挿入などを行います。
クライアントに対して試写を行います。クライアントから承認をいただければ完成です!

CMが流れる放送局、Webサイトなどに納品します。
実際にCMが公開され、人々の心を動かしていきます。
家族、友達についつい自慢してしまいそうです。
まとめ
CM制作の流れについて解説しました!CM制作は多くの人の思い・経験・技術が結集しなければ完成しない最強のチーム戦です。誰1人として欠けることのできない仕事です。困難も、辛いことも、悲しいこともあるはずです。しかし、一つずつ乗り越えて成長して、自分らしく働くことのできる仕事でもあります。
きっと、あなたがいなければ実現できない企画・作品があるはずです。
CMの制作会社についてまとめた記事も是非チェックしてみてくださいね。



